日本の品質と中国のスピード。両拠点の強みを生かして事業を拡大

株式会社シンカテクノロジーは、岡山と中国の大連に開発拠点を置き、システム開発の受託事業を展開している会社だ。2024年4月現在、日本12名、中国40名、合計52名の技術者が在籍。日本側が持つ品質と技術、中国側が持つ技術とスピード、双方の長所を生かし、自治体向け、省庁向け、民間向けのシステム開発を行っている。
同社は2017年12月、代表取締役・矯健氏を中心に、システムエンジニア4名でスタートした会社である。矯氏は中国で情報科学を学んだ後、日本に留学。岡山にある大学の大学院を卒業した後、SIerに入社し、技術者として10年間務め、独立を果たした。独立後は、古巣のSIerとの取引から始まり、東京のコンサルティング会社等に取引先を広げてきた。
技術領域は幅広い。矯氏はじめ、創業メンバーが前職時代に経験と実績を積んだカーナビやドライブレコーダー、ECU等、車載機器の組み込み開発をはじめ、「Salesforce」や「kintone」を利用したクラウドシステムの開発、チャットツールやWeb会議システム、ファイル共有システム等を統合したクラウドオフィスシステムのスクラッチ開発、さらにデータベース開発やサーバ環境の構築等、多種多様なプロジェクトを受託している。
同社の強みは、国内の開発拠点と、中国オフショア拠点の連携体制だ。岡山のエンジニアがリーダーとなり大連のエンジニアとチームを組んで対応。他社のオフショア開発とは異なり、日本と中国の品質文化の違いを把握した上で開発プロジェクトを推進するため、開発の背景や実現したい要件等が曖昧となることを防止するとともに、自社が担当する機能だけではなくシステム全体を俯瞰的に捉えられるため、期待通りのアウトプットができる。
また中国側の強みであるスピードも、クライアントから重宝がられる要因の一つだ。
「中国のエンジニアは、新しい技術や知識を吸収するスピードが速いため、技術を問わず迅速に動くデモ画面を見せることが可能です。システムを提案する際、紙ベースの提案資料では説得力がありません。そのためコンサルティング会社やSIerはデモを作ってエンドユーザーに提案します。しかしデモにコストはかけられません。短時間で動く画面を作って見せられることが有利に働き、数々の受注に繋がっています」(矯氏)。
同社はこのような強みを背景に、設立以来、着実に業績を伸ばしてきた。6期目の2022年度は、売上が初年度の6倍に達している。7期目に入った現在も業務量は増え続け、今後、人材不足が見込まれることから、日本、中国の両拠点で開発体制の充実を図る計画である。
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